捨てなくてよかった。パパが渡していた、妖怪メダル

ぱんだの成長

ぱんだが小さい頃、

妖怪ウォッチが大好きでした。

とくにハマっていたのが、

「妖怪学園Y」。

リアルタイムで見ていたわけでもないのに、

なぜかものすごくハマって。

何度も何度も見ていました。

その頃わが家では、

「○○を頑張ったら、メダルをひとつ」

というご褒美制度がありました。

妖怪学園Yのメダルだけは、セットパックを箱で購入。

そこからひとつずつ渡していました。

そして、メダルを渡す係はパパ。

ぱんだって、嬉しい時の喜び方が本当にすごいんです。

全身で、「やったーーー!!」って喜ぶ。

そんなぱんだを見るのが、

パパも楽しみだったみたいで。

ご褒美を渡す日は、

ぱんだだけじゃなくて、

パパまで嬉しそうでした。

月日が経って。

妖怪ウォッチで遊ばなくなったぱんだは、

「もういらない」と言うようになりました。

大量の妖怪メダル。

そして、いくつかの妖怪ウォッチ。

パパが亡くなってから、

家の中のいろんな物を少しずつ片付けている中で、

これも知り合いの子に譲ろうと思っていました。

でも、なかなか会う機会がなくて。

渡せないまま、ずっと部屋の片隅に置いてありました。

そして先日の旅行。

たまたま、ぱんだが妖怪学園Yを見ていました。

すると突然、

「やっぱりメダルあげなきゃよかったなぁ」

「欲しいなぁ」と。

……え。まだあるよ。

知り合いにあげるつもりだったけど、まだ渡してない。

それを伝えると、ぱんだは大喜び。

なんだか、渡せないまま残っていたことまで、

最初から決まっていたみたいに感じてしまいました。

家に帰って、妖怪学園Yのウォッチとメダルを出しました。

ぱんだはもう、それはそれは嬉しそうで。

電池も新しく交換して、

さっそく腕につけようとしました。

ところが。

「あれ?」

昔使っていたベルトの穴では、もう入らない。

ひとつ。

ふたつ。

みっつ。

よっつ。

昔より、4つも大きいところで留めました。

あぁ。

大きくなったんだなぁ。

毎日一緒にいると、子どもの成長なんてなかなか分からないのに。

昔のおもちゃが、こんなふうに教えてくれることもあるんですね。

ウォッチを腕につけて、嬉しそうにメダルで遊ぶぱんだ。

体はずいぶん大きくなったのに、その姿は、あの頃と全然変わっていなくて。

かわいくて。

ちょっとおかしくて。

そして、少しだけ寂しくなりました。

心の中で、パパに話しかけました。

ねぇ、パパちゃん。

ぱんだ、大きくなってたよ。

ウォッチの穴、4つも大きくなってた。

でもね。

遊んでる姿は、あの頃のままだよ。

今も変わらず、かわいいよ。

大量にあった妖怪メダル。

全部を残しておく必要はないと思っています。

でも、妖怪学園Yのメダルだけは、取っておくことにしました。

これはもう、ただのおもちゃじゃないから。

ぱんだが頑張って、パパからひとつずつ受け取ったメダル。

ぱんだが喜んで、その姿を見てパパも笑っていた頃のメダル。

そして今日、大きくなったぱんだが、もう一度嬉しそうに手にしたメダル。

いつか、もっともっと大きくなって。

妖怪ウォッチのことなんて、すっかり忘れてしまう日が来ても。

このメダルを見ながら、

「これ、パパがご褒美でくれてたんよ」

って話せたらいいなと思います。

捨てなくて、よかった。

本当に。

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